「2023-12-01 12 万円から始める EPYC PC 生活」の版間の差分
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2023年12月9日 (土) 17:06時点における版
デスクトップ PC として AMD EPYC 搭載機を構築したので、選定理由も含めてまとめました。
現状のユースケース
現在はデスクトップ PC に Lenovo ThinkCentre M715q を使用。
Web ブラウジング
- Youtube / ニコニコ動画
ゲーム (ちょっとだけ)
3D ゲームはやらない、レトロを含む 2D ゲームはちょっとやるため、次期 PC では低遅延化したい。
- 東方 Project
- ストリートファイター アニバーサリー コレクション
- カプコン ファイティング コレクション
- Steam のドット絵系
コンセプト
初期はデスクトップ PC として導入する
AI 絵の生成をやってみたい。
長期に渡って使用できる・部品個別にアップグレードできること
申し訳ないが Socket がころころ変わりまくる Intel は NG.
デスクトップ PC 退役後に、サーバとして余生を送らせると、長期に渡って使用できため、投資効率が良い。
個別最適化したほうが良いケースもあるため、判断基準が難しい。
退役してサーバにしたときに、多コア CPU・多メモリ・100G NIC を搭載できるとベター
ESXi : Nested で NSX-T が検証できる程度には・・・
EVE-NG : メモリ使用量の多い VM で BGP-EVPN を組めること
Intel DPDK : 100G NIC を挿して、Cisco Trex でトラフィック ジェネレートしたい
- PCIe のレーン数が多く必要
コンパクトかつ静音性に優れること
できれば Mini-ITX で組みたいが・・・PCIe スロットの数から難しい。
価格・パフォーマンスが良いなら、ある程度大きくても良し。
自作 PC の ATX ミドルタワー サイズは NG. 最大でも Micro-ATX マザー向けサイズのケースとする。
冷却は簡易水冷か Noctua でコストをかけて、静音性を確保する。
価格とパフォーマンスのバランスが優れていること
コストは主要部品で 10 万円程度、トータルで 15 万円程度を目指す。
現在使用している ThinkCentre M715q Ryzen5 2400GE Pro 4C8T の Passmark 7555 を超えること。
6 コア以上は必須。中古で安く or ThinkCentre M75q-2 のように新品でも安い機種を選定する。
高フレームレート・低遅延に対応できること
有機 EL や PS5 で 4K120fps が使用されてきているため、PC を対応可能にしておきたい。
また、同時に低遅延技術も考慮して機器を選定する。]
AI に使用できること
これで GPU が必須に。
絵 : Stable Diffusion
多数のパラメータをローカルに持って推論させるやつ (未調査)
ハードウェア要件
現状の把握とコンセプトを固めたところで、要件としてまとめてみると・・・
必須要件
多コア・多メモリにアップグレードできること
4K120fps / 低遅延技術に対応すること
- ディスクリート GPU じゃないと選択肢がほぼ無い
- 最近統合 GPU ばっかりだったので、たまには使いたい
- 4K を含むマルチディスプレイ : できれば 4 つ
- AMD FreeSync or NVIDIA G-Sync Compatible 対応
多ポートの USB ポートを持つこと
コンパクトかつ静音
- スペック次第である程度は妥協する
任意要件
IPMI があるといいなぁ
- サーバをお守りするときに便利すぎる
5G 以上のネットワーク インターフェース
- ネットワーク屋なので速いやつ
選定した主要ハードウェア
上記を元に選定した結果、中古の AMD EPYC 第 2 世代を主軸に据えた構成の自作 PC とした。
主要部品を中古にして価格を下げて、その分スペックを上げた。
メーカー品では Xeon 搭載のワークステーションや、15 万円くらいのエントリー ゲーミング PC が近いかんじ。
他には Lenovo ThinkStation P3 Ultra か。小型高性能でメーカーじゃないとできない。
自作になったのは、ケースに Q500L が見つかったことで、ATX でも Mircro-ATX サイズでコンパクトになるのが特に大きい。
種類 | メーカー | 型式 | スペック | 備考 |
---|---|---|---|---|
CPU | AMD | EPYC 7282 | 16C32T | 中古 : 64 コアまで可能で豊富なラインアップ |
MB | SuperMicro | H11SSL or H12SSL | 3 PCIe x16
3 PCIe x8 |
中古 : EPYC 1,2 世代対応
メモリ 2TB まで IPMI あり オンボードで 1G x2 Intel NIC |
MEM | DDR4 | 8GB x 4 | 中古 : 今 16GB で 32GB あれば困らない | |
GPU | NVIDIA | GeForce RTX 3060 | ||
Case | Cooler Master | Q500L | Micro-ATX サイズの ATX ケース | |
PS | 650W |
AI 絵は RTX3060 12G が入門向けらしいが、もっと安いのにしたかった・・・
他のハードウェアを選定しなかった理由
Intel Core
- 12 世代以降の E コアに ESXi が対応していない
- E コアについて、サーバ OS のプロセス スケジューリングの情報が少ない
- 世代ごとに Socket が変わりすぎ
- 中古 CPU でアップグレードしづらい
Intel Xeon
- 前回組んだのでパス
- 中華マザー + 中古 CPU で安く組むとコスト パフォーマンスが良い
- 前に Xeon Ivy Bridge-EP でやった
- 多コア狙いだと、2 Socket = 高コスト + E-ATX or SSI-EEB のでかいケースになるのが痛い
- 今後の新型のアーキテクチャが、ビッグコアで期待薄
AMD Ryzen
- ESXi に公式対応しない
- HCL (Hardware Compatibility List) に Ryzen が無い
- Intel NIC 搭載マザーが無い or 少ない
- 新品マザーボードが高すぎる
- VRM フェーズ数で高クロック狙うわけでは無いし・・・
- DDR5 でコスト・帯域幅のメリットを享受できるのは、まだまだ先
- PCIe のレーン数が 24 と少ない
Mini-ITX
- EPYC で Mini-ITX はキワモノで、価格が高すぎるしメモリスロットも少ない
- Ryzen / EPYC Embeded も探していたが、コストパフォーマンスが良くない
- マザーが高いし CPU がオンボードで交換できない
比較表
比較ポイント | EPYC 7282 | Core-i3
13100F |
Core-i 5
14600K |
Ryzen 7
7800X3D |
---|---|---|---|---|
価格 | 17,277 | 17,810 | 49,800 | 51,307 |
コア数 | 16 | 4 | P : 6-8
E : 8-16 |
8 |
Passmark
Single Thread Rating |
1829 | 3608 | 4309 | 3757 |
Passmark
CPU Mark |
29496 | 14644 | 39972 | 34473 |
最大メモリ | 2TB
(コスト面で現実的なのは 256GB 程度) |
128GB | 192GB | 128GB |
PCIe レーン数 | 128 (4.0)
(H11SSL は 3.0 まで) |
20 (5.0) | 20 (5.0) | 28 (4.0) |
まとめ
CPU は価格が 3 分の 1 でパフォーマンスは 4 分の 3 もしくは価格が同じでパフォーマンスが 2 倍なので、コストパフォーマンスはかなり高い。
ただしマルチ スレッドじゃないと性能が出ないため、ゲームが目的ならクロック・シングル スレッド性能が高い CPUJ のほうが向く。
筆者はブラウザのタブもいいとこ 20 くらいしか開かないし、正直デスクトップ向けとしては微妙だと思う。
メリット
16 コア + 64GB メモリ搭載機として安価
CPU / MB / メモリ / NVMe / ケース / 電源の最小構成で 10 万円程度から。
8 スロットで大容量のメモリ + オクタ チャネルの高帯域幅
8 スロットあると 8GB x 8 や 16GB x 4 のように選択肢が多く取れる。
- 今回の購入品は 16GB x4 でクアッドチャネル
また、リプレースされて出回る中古の DDR4 ECC Reg が今後安くなることが見込まれる。
新品で DDR5 8 枚挿しマザーは、価格が高すぎるためパス。
将来的に CPU / メモリのアップグレード パスが豊富
中古の CPU 32 or 64 コア・メモリ 256GB (32G x 8) を、現実的なコストで狙えるマザーボード。
それぞれ 2-3 万円くらいの市場価格に下落 + サーバに退役するタイミングで購入するのが良さそう。
IPMI でリモート電源 Off / On , 温度監視
サーバにしたときにリモートで電源 On して検証、終了後に電源 Off できるのは大きい。
ここは PiKVM で代替も可能だった。
静音性が高い
ここはコストをかけて Noctua メインに。通常時はほぼ無音、GPU 使用時に少し音がするくらい。
CPU は思ったよりも温度が低く、負荷をかけても室温 28 度で 65 度程度までしか上がらない。
デメリット
そのままでは Windows11 非対応
EPYC 7002 世代は Windows11 に対応しているが、要 TPM2.0 モジュール追加 (でイケそう)。
高いアイドル消費電力
全体で 100W 程度。第 7 世代 Ryzen9 搭載機と同じくらいらしいので、EPYC だから高いというわけでは無さそう。
S3 スタンバイ非対応・起動が遅い
サーバ用 CPU / マザーゆえ致し方なし。特に S3 スタンバイ無しは個人的に痛い。
休止状態にも対応しない。
メモリの低い単体帯域幅
今どき DDR4-2133 は見たこと無い。。筆者は速さを体感できないのでヨシ !
- DDR4-3200 ECC Reg は価格が高かった・セット品の選択肢になかった
ただクアッドチャネルで動かして 17GB/s x 4ch = 68GB/s になるので、Ryzen のデュアルチャネル DDR5-5600 65.68GB/s と同じくらいで悪くない。
詳細な構成
購入先リスト
Amazon : 大体ここ
eBay : CPU / MB / Memory
Tsukumo : Amazon で買えない Noctua をここで
構成リスト
大項目 | 小項目 | メーカー | 型式 | 主要スペック | 数 | 価格 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
主要部品 | CPU | AMD | EPYC 7282 | 2.8 - 3.2 Ghz
16 コア 32 スレッド |
1 | 64,430 | eBay 中古 3 点セット これ以外は新品
8GB x4 と価格差が少なかったため、16GB x4 とした
|
マザー | SuperMicro | MBD-H11SSL-C
H11SSL-C |
3 PCI-E 3.0 x16
3 PCI-E 3.0 x8 M.2 Interface: 1 PCI-E 3.0 x4 |
1 | |||
メモリ | Samsung | M393A2G40DB0-CPB2Q
DDR4-2133 ECC Registered |
16GB
2133Mhz 17GB/s |
4 | |||
SSD | Samsung | MZ-V7S2T0B/EC
970 EVO Plus |
M.2 2280
2TB 3,500MB/秒 |
1 | 13,720 | ESXi にしたときにも動く Samsung で | |
MB 搭載 | グラフィックボード | MSI | GeForce RTX 3060 VENTUS 2X 12G OC
VD7553 |
VRAM 12GB | 1 | 39,191 | Stable Diffusion は RTX3060 + 12GB が入門用に向いているらしい |
USB カード | Inateck | KU5211
3 x USB Type-A 2 x USB Type-Cポート |
PCIe USB 3.2 Gen 2
帯域幅20 Gbps |
1 | 4,799 | ||
ネットワーク | Intel | X520-DA2 | 10G SFP+ x2 | 1 | 7,277 | なんかてきとうに挿しておこう感 | |
TPM | Supermicro | AOM-TPM-9655V | TPM 1.2 | 1 | 1,664 | TPM 1.2 なのに買ってしまった。。 | |
TPM | DQXY | TPM2.0暗号化セキュリティモジュール | TPM 2.0 | 1 | 1,590 | TPM 2.0 の ASUS 互換品
ASIN B09M9YCZRZ | |
USB ブラケット | CHENYANG | 2 ポート | 1 | 1,101 | |||
ケース系 | 電源 | 玄人志向 | KRPW-BK650W/85+ | 650W 120mm ファン
80PLUS認証 BRONZE セミプラグイン |
1 | 7,673 | セミプラグインで選定 |
ケース | Cooler Master | MCB-Q500L-KANN-S01
MasterBox Q500L |
386 (L) x 230 (W) x 381 (H) mm
ATX |
1 | 7,874 | ATX 対応で最小クラスの体積 | |
冷却系 | CPU クーラー | Noctua | NH-U12S TR4-SP3 | 最大ノイズ 22.4 dBA
回転数 300 - 1500 rpm |
1 | 12,980 | |
CPU グリス | 親和産業 | SMZ-01R
OC Master |
1 | 1,028 | CPU クーラーに付属するため、必要なかった | ||
上部吸気ファン | Noctua | NF-A14-PWM | 120x25mm
最大回転速度:1500 RPM 最大回転速度:1200 RPM
最小回転速度:300 RPM 140.2 m3/h (スタンダード) 115.5 m3/h (L.N.A使用時) |
2 | 3,280
3,080 |
L.N.A. (Low Noise Adapter) で回転数低下 | |
排気ファン | ? | ? | 120x25mm | - | ケース Q500L に付属
L.N.A. で回転数低下 | ||
ファン関係 | SilverStone | SST-CPF05 | PWM制御 ファン回転数減速ケーブル | 1 | 1,210 | ||
ソフトウェア | OS | Microsoft | Windows 11 Home 日本語版 | 1 | 15,336 | ||
ライセンス | SuperMicro | SFT-OOB-LIC | BIOS を IPMI からアップデート | 1 | 3,754 | Non-boot 領域をふっとばしたので購入
結果的には必要なかった Wiredzone 産 | |
合計額 | 189,987 |
発生したトラブル
Windows11 でオプションのアップデートをしたら、起動しなくなった
SuperMicro のロゴで止まるのを 3 回繰り返したら、勝手に切り戻って起動するようになった。
BIOS アップデートで Non-Boot 領域が更新できなかった
Erase 0% で止まった。。幸い Boot 領域は更新できていたため、再起動は可能だった。
症状としては IPMI で温度が見られないなど、起動に関係しない領域が破壊された程度で済んだ模様。
以下で対応して 2 回目のアップデートは成功した。
- USB メモリに別のものを使用
- ピンヘッダの USB3.0 -> 本体背面の USB 2.0 ポートに接続を変更
Boot 領域が壊れた場合も、IPMI のライセンスを買えば復旧可能らしいが・・・
Noctua のファンが 0 rpm で誤認識されて、高回転になるのを繰り返す
回転数が低すぎて、止まっていると誤認識されているように見える。
SuperMicro の FAN Mode は Optimal Speed で回転数を下げる設定であっても、Standard であっても挙動は変わらない。
高回転がうるさいのが問題なため、Low Noise Adapter で対処。
負荷がかかって暖かくなると発生しないようだ。
GeForce RtX 3060 の HDMI ポート経由で LG 32UD99-W と接続すると、G-Sync Compatible が動作しない
Display Port に変更して問題なし。また、HDMI はケーブルの品質をかなり選ぶ模様で、何度か表示がおかしかった。