「Catalyst 9350 スイッチ移行設計」の版間の差分
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2025年6月20日 (金) 16:19時点における版
UADP ASIC 搭載の Catalyst 3850 / 9300 が今までリリースされてきましたが、2025/06/10 に Silicon One ASIC 搭載である、新型の Catalyst 9350 の情報が公開されました。
このページでは、C9300 と C9350 を比較し、移行するために必要な情報を記載します。
移行に当たり、既存である C9300 の情報は Catalyst 9000 スイッチ設計 にまとめてあります。
以下の情報を元にしています。
比較表
Perplexity AI さんにまとめてもらった + 追記したところ、以下になりました。
項目 | Catalyst 9300/9300X | Catalyst 9350 |
---|---|---|
ASIC | UADP 2.0/2.0sec | Silicon One A100 (エンタープライズ市場で初) |
最大スタック台数 | 8 | 8 - 12
(12 台は当初サポートしない) |
スタック アーキテクチャ | プロプライエタリ リングベース スタック | 標準技術ベース スタック
IS-IS / L3 SPF / ECMP / VXLAN |
スタック帯域幅 | 480 Gbps / 1 Tbps (9300X) | 1.6 Tbps |
スタック ケーブリング | リング接続 | フレキシブル接続 |
スタック障害時帯域幅 | スタック全体が半二重に縮退 | スタックポートがダウンのスイッチのみ半二重に縮退 |
電源 | 2 つ | 3 つ |
ファン | 3 つ ホットスワップ対応 | 3 つ
エアフロー方向オプションあり
|
最大ポート数 | 48 (mGig/10G/1G)、最大384 (8台スタック) | 48 (mGig/10G/1G)、最大 576 (12台スタック) |
PoE密度 | 90W UPOE+ 最大48 (単体)、384(8台) | 90W UPoE+ 最大48 (単体)、576 (12台) |
アップリンク | 1G/10G/25G/40G/100G (モデルによる) | 1G/10G/25G/40G/50G/100G
アップリンクモジュールは C9300 と互換性なし |
管理/運用 | IOS XE , Catalyst Center , Meraki monitoring | IOS XE , Catalyst Center , Meraki monitoring/management |
BOX 型スイッチにも、ついに電源 3 つ搭載になりました。1 ポート 90W の PoE に対応するため、電源容量が必要だったということでしょう。
スタック帯域幅もだいぶ強化されて 1.6 Tbps となり、C9300 のケーブルとは異なるケーブルとなっています。
- C9300 : STACK-T1-50CM=
- C9350 : STACK-T1A-50CM=
2025 年までにリリースされた Silicon One ASIC 搭載機は低速側がすべて 10 G までであり、1 G 以下はリンクアップしませんでした。
- 基本 1G はリンクアップしない
- 10 G -> 1 G 減速専用 SFP のみ 1 G でリンクアップ
このため、Silicon One ASIC として初の 1 G ネイティブ対応ポート搭載機になります。
ユニファイド管理
Catalyst 9300 は Meraki の MS スイッチとハードウェアが分かれていましたが、今回からモード切替で Meraki と IOS-XE の両方に対応できるハードウェアとなりました。
- おそらくインストールする OS で、モードを切り替えるパターンと思われます
クラウド管理 - Meraki
-M の SKU でオーダーすると、Meraki クラウド管理で ZTP できるように出荷してもらえる模様。
クラウド オペレーティングモード
Meraki のクラウド UI からコンフィギュレーション・管理・モニタリングを実施するモード。
IOS-XE CLI は Meraki のクラウドから、読み取りのみでトラブルシュートに利用可能。
ハイブリッド オペレーティング モード
Meraki クラウドからコンフィギュレーション・管理・モニタリングを実施できるモード。
IOS-XE CLI は Meraki クラウドから読み書き (ここの書き込みはコンフィギュレーションを意味すると思われる) 両方が実施できる。
また、CLI の SSH/telnet も利用可能。
ハイブリッドモードは最初のリリースではサポートされません。[1]
オンプレミス管理 - Meraki
Meraki ダッシュボードでインベントリとライセンス管理が可能です。
従来のコンソールや CLI 管理はここにカテゴライズされています。
オンプレミス管理 - Catalyst Center
Catalyst Center (旧 DNA Center) で管理します。
価格がお高い・機能豊富・OS フットプリントがでかいため、ラージエンタープライズで少なくとも 100 台以上管理しているようなユーザに向いていると思われます。
サイズ
Perplexity さんに ry)
項目 | C9300 シリーズ | C9350 シリーズ |
---|---|---|
高さ | 44.5 mm(1RU) | 44.5 mm(1RU) |
幅 | 445 mm | 445 mm |
奥行き | 460~462 mm(モデル差) | 460 mm |
重量 | 7.1~8.6 kg(構成差) | 約 8.6 kg(48ポート時) |
ポイント
- どちらも 1RU サイズで、幅・高さは同一です。
- 奥行きはほぼ同等(最大で2mm 程度の差)。
- 重量は C9350 がやや重い傾向ですが、構成によってはほぼ同等です。
設置・運用上は、物理サイズに大きな違いはありません。
奥行きの長さで困るといった心配はなさそうです。
電源
3 つ搭載かつ 1600W 電源も存在するため、PoE で Wi-Fi7 の Wireless AP を多数収容する、という場合は電源工事が必要になる可能性が高いです。
帯域幅
ASIC あたりの最大帯域幅はスイッチング 500 Gbps , スタック接続 800 Gbps です。
アップリンク モジュール
SKU により最大帯域幅が異なるため、モジュールの互換性に差がありそうですが、まだ情報は無いようです。
- Cisco C9350-48TX supports up to 400 G of aggregate uplink bandwidth.
- Cisco C9350-48P supports modular uplinks delivering up to 200 Gbps of total uplink bandwidth.
ASIC の搭載数によって異なっており、HX/TX だと 2 個で 400G [2], 他は 1 個で 200G [3] となります。
C9350-NM-4C
100G x 4 ポートのため、ASIC を 2 個搭載した HX/TX モデル専用になりそうです。
ダウンリンクが 10G x 48 ポートのため、ダウンリンクをフルに使うと 1.2:1 のオーバーサブ比となります。
C9350-NM-2C
100G x 2 ポートモデル。おそらくどのモデルにも搭載可能。
ダウンリンク 5 G x 48 ポートで 240 Gbps なので、こちらも 1.2:1 のオーバーサブ比に。
ほとんどの場合はこちらで十分と思われます。
C9350-NM-8Y
10 / 25G x 8 のアップリンク モジュールですが、新たに 50G x 4 に対応しました。[4]
50G モードだと 5-8 番のポートは無効になります。[5]
おそらくどのモデルにも搭載可能。
機能
EVPN / SDA 関連は、まだまだこれから実装 [6] の模様。
また、C9300X は UADP2.0sec ASIC で IPsec に対応しましたが、2025/10 時点の C9350 は全くサポートしていないため、移行できません。
Silicon One A100 自体は IPsec 暗号化エンジンを持っているため、将来的にはサポートされる可能性があります。
また、エンタープライズのローエンド LAN スイッチとして、初めて Silicon One が採用されたため、レイヤ 2 フィーチャの安定性と互換性はこれからではないかと思われます。
互換性の面では、例えば REP や FlexLink+ が実装されていません。
- C9500X / C9600X でエンタープライズ スイッチに Silicon One が初採用されましたが、コアやディストリビューションで使用されるため、ルーティング プロトコルはある程度枯れていると考えられる
スケール
2024-10-06 Catalyst1000 2960CX 3560CX 9000 サイジング比較表 に追記します。
全体的に Silicon One は非常にスケールが大きいため、問題になる可能性は低そうです。
スタック
Catalyst 9300 のスタックはリングバスのアーキテクチャを採用していました。
ASIC 1 個あたりスイッチング 500 Gbps , スタック部は、800 Gbps との記載がありますが、StackWise-1.6T という記載もあります。どちらが正しいのでしょうか ? という人は以下を確認してみてください。
StackWise-480 は、以下の帯域幅を持っていました。
- 物理 40 Gbps x 3 リンク = 120Gbps = 全二重 240Gbps = 空間再利用 480 Gbps
StackWise-1.6T は上記に習うと、以下の帯域幅となりそうです。
- 物理 100 Gbps x 4 リンク ? = 400 Gbps = 全二重 800 Gbps = L3 SPF 1600 Gbps
空間再利用 (Spatial Reuse Protocol) は、スタックの台数が多い場合、最短距離となる経路を使用することで、見かけ上の帯域幅が大きくなるメカニズムを意味しています。
- 最短距離以外の経路の帯域幅を消費しなくなる分、トクをする
L3 SPF は Shortest Path First を意味していると思われ、OSPF と同じようなパス選択となるでしょう。
例えば一番ホップ数が多いスイッチ同士の通信であっても、右回りでユニキャスト通信した場合には、左回りの経路は使用しないため、見かけ上の帯域幅が大きくなります。
このためブロードキャスト通信やマルチキャスト通信では、空間再利用の恩恵は受けられません。
SKU
どの SKU を選択する ?
ASIC 2 個搭載
HX/TX : 1/2.5/5/10G のマルチギガビットならこちら
- HX は 90W PoE なので、Wi-Fi7 で最大速度を狙うモデルと言えそう
- TX は PoE なし
ASIC 1 個搭載
U : 1G 60W PoE
P : 1G 30W PoE
T : 1G PoE なし
ファイバポート搭載モデルは 2025 年 6 月の時点でまだ存在しないため、9300X を提案することになります。
リファレンス
Cisco C9350 Series Smart Switches Data Sheet
Cisco C9610 Series Smart Switches Data Sheet
Cisco C9000 Smart Switching Platform FAQ
引用
- ↑ Management Hybrid mode capability will be able in a future release
- ↑ Models and specifications Cisco C9350-48HX is powered by dual Silicon One A100 ASICs Cisco C9350-48TX is powered by dual Silicon One A100 ASICs
- ↑ Models and specifications Cisco C9350-48U integrates a single Silicon One A100 ASIC Cisco C9350-48U supports modular uplinks delivering up to 200 Gbps of total uplink bandwidth to accommodate high-throughput aggregation and core connections. Cisco C9350-48P integrates a single Silicon One A100 ASIC Cisco C9350-48P supports modular uplinks delivering up to 200 Gbps of total uplink bandwidth.
- ↑ C9350-NM-8Y highlights Cisco C9350-NM-8Y delivers up to 200 Gbps of total uplink bandwidth with 8x 25G/10G/1G or 4x 50G ports.
- ↑ C9350-NM-8Y highlights Cisco C9350-NM-8Y can be converted to 50G mode, with ports 5–8 automatically set to inactive when enabled, offering enhanced bandwidth for demanding applications.
- ↑ Table 11. Feature highlights for Cisco C9350 Series Smart Switches