Cisco Catalyst 9000 スイッチング プラットフォーム QoS and キューイング ホワイトペーパー
イントロダクション
このドキュメントは、Cisco Catalyst 9000 ファミリ スイッチのクオリティ・オブ・サービス (QoS) とキューイング アーキテクチャについて記載します。バッファ、スケジューリング、ポリシング、リマーキングの機能についての説明です。それは複数のポート間でどのようにバッファを共有するか、オート QoS が簡潔に構築できるか、そしてアプリケーションの要求に応じて、カスタム QoS ポリシーをどのように設定するか、詳細を提供します。
QoS の事例
エンタープライズ ネットワークは、様々なプラットフォームを横断してネットワークに広がり、エンド・ツー・エンドで QoS ソリューションを提供する必要があります。多様なプラットフォームにソリューションを提供するには、多くの場合それぞれの技術において、異なる QoS コンフィギュレーション アプローチを採る必要があります。エンタープライズ ネットワークは、より複雑で、ミッション クリティカル アプリケーションや、日々増大するウェブのマルチメディア アプリケーション トラフィックを運んでおり、QoS はこれらのトラフィックを優先づけすることで、それぞれのアプリケーションが求めるサービス レベルを確実なものにします。
ネットワークは、複雑さが増大するビジネス アプリケーションを扱えなくてはなりません。QoS によりネットワークは差別化という難しいタスクを扱うことができ、ビジネス アプリケーションについて、最も効率的に機器間のリンクを使用します。
QoS は以下のテクニックを追加することにより、ネットワークに保障と予測されたネットワーク トラフィックの選択を助けます。
- スケジューリングによる、帯域幅の保障
- 特定のトラフィックの損失の削減
- ネットワーク輻輳の管理と回避
- ネットワーク トラフィックのシェーピング
- ネットワークを横断するトラフィックに、優先順位の設定
上記のテクニックを用いてあなたのネットワークに QoS を実装することで、以下の優位点を得られるでしょう。
- 帯域幅、レート制限のように、リソースを超えたもののコントロール 例えば、重要なデータベース アクセスを優先するために優先度を与え、FTP 転送はリンク上で消費する帯域幅を制限したりできます。
- ミッション クリティカル アプリケーションとの共存
- 時間に敏感なマルチメディアと音声アプリケーションに、要求される帯域幅と最小遅延が提供できます
- FTP , メール、HTTP , 取引のような他のアプリケーションがリンクを利用するとき、音声のようなミッション クリティカル トラフィックに干渉させず、公平なレベルのサービスを使用できます
さらにネットワークに QoS 機能を実装することで、将来にすべてが統合されたネットワークとなる基盤を手に入れて、輻輳を管理する効率的なテクニックを使用できます
輻輳とは何ですか ?
輻輳は宛先ポートがすべてのパケットを外部へ送信できないときに発生し、いくつかのパケットは想定よりもドロップや遅延が発生します。画像 1. は 2 つのタイプの輻輳で、QoS とキューイングが必要とされるイラストです。
輻輳のタイプ
2 つのタイプの輻輳は画像 1. に示しています :
- 複数ポートから単一ポートへ : 複数の送信元ポートから単一の宛先ポートへ同時に送信するとき、複数の送信元から合計されたトラフィックが届いてしまい、宛先ポートが服装します
- スピード ミスマッチ : 高速なポートで受信して低速なポート (例えば 10Gbps から 1Gbps) で送信するとき、パケットは出力ポートから流れるのに時間がかかるため、結果としてパケットのドロップや遅延となります
なぜ輻輳に配慮しなくてはなりませんか ?
輻輳が発生したときに、輻輳管理機能が適切に設定されていない場合、パケットはドロップされます。パケットがドロップされると、上位プロトコルによっては再送が発生、もしくはネットワークの再収束が必要になる場合があります。これはネットワークの パフォーマンスに影響を与える可能性があります。すでにネットワークが輻輳していると、これが既存のパフォーマンスの問題に追加されてしまい、ネットワーク全体のパフォーマンスがさらに低下する可能性があります。それは ボーダー・ゲートウェイ・プロトコル (BGP) , オープン・ショーテスト・パス・ファースト (OSPF) , リンク・アグリゲーション・コントロール・プロトコル (LACP) のようなプロトコルの場合、一時的もしくは完全に接続が切れてしまう結果になりえます。このようなコントロール プレーン プロトコルのパケットが、輻輳によりドロップすることで、それらのキープ アライブ メッセージが、受信できなくなることで発生します。
ネットワークの収束と輻輳管理は、さらに重要になります。レイテンシやジッターは、音声やビデオのように敏感なトラフィックでは、もし遅延が発生すると厳しい影響があります。バッファの追加は常に簡潔なソリューションにはなりえません。ソリューションを探す前に重要なステップを踏むことで、アプリケーションのトラフィック パターンの何が影響しているか理解してください。
個別のアプリケーションで QoS を確保するために、適切なツールのセットが必要とされます。Cisco Catalyst 9000 ファミリは、エンタープライズ ネットワークで見られる、一般的なアプリケーションを扱うために必要とされるすべてのツールを提供します。
輻輳を管理するう方法はいくつかあります :
- オーバーサブスクリプション比の削減
- 優先するためのトラフィックに、キューイング スケジューラを使用
- 輻輳管理にウェイテッド・ランダム・アーリー・テール・ドロップ (WRED) やウェイテッド・テール・ドロップのように、いくつかのトラフィックを早期にドロップさせるためのアルゴリズムを採用
- ドロップを削減するためにバッファを使用し、送信する前のパケット保存量を増加
- 入力側でトラフィックをポリシングして、トラフィックを出力する前に削減
次のセクションでは、異なるスイッチのモデルで QoS 機能の統合の仕方を議論します。
Cisco Catalyst 9000 ファミリにおける ASIC の QoS の統合
Cisco Catalyst 9000 スイッチング プラットフォームは、エンタープライズ LAN アクセス、ディストリビューション、コアスイッチにおける次世代の Cisco ファミリです。Cisco ユニファイド・アクセス・データ・プレーン (UADP) アプリケーション・スペシフィック・インテグレーテッド・サーキット (ASIC) はこのプラットフォームはより高速なパフォーマンス、多くの新機能と動作を提供します。
Cisco Catalyst 9000 スイッチング プラットフォームは、一般的で強力なハードウェアとソフトウェア基盤で成り立っています。その性質と一貫性は、ネットワークエンジニアと管理者にシンプルさと運用のしやすさをもたらし、トータルで運用コストの削減とよりよい体験を創出します。
一般的なハードウェア
Cisco Catalyst 9000 ファミリのハードウェアは、その内部と外部で一般的なデザインを持ちっています。内部はハードウェアが一般的な ASIC を使用し、Cisco UADP がパケットの扱いに柔軟性を提供します。他の一般的なコンポーネントはスイッチの CPU です。Cisco Catalyst スイッチの歴史において、最初に x86 ベースの CPU を搭載 (Cisco Catalyst 9200 を除く) し、ネットワーク スイッチで通常使用可能なルーティングなどのアプリケーションを超えて、コンテナされたアプリケーションを追加することが加納です。
一般的なソフトウェア
すべての Cisco Catalyst 9000 ファミリ スイッチは、異なる CPU を持つ Cisco Catalyst 9200 を除いて、まったく同じバイナリ イメージの Cisco IOS XE で動作します。Cisco IOS XE は拡張され、オープンで、プログラマブルな OS です。30 年の歴史の中で 1000 を超える機能を持ち、Cisco IOS XE はネットワーキング市場において、間違いなく最も機能が豊富な OS です。Cisco Catalyst 9000 プラットフォームを横断してシングル バイナリ イメージを持ち、モジュラー・クオリティ・オブ・サービス・CLI (MQC) のようなエンド ツー エンドの機能のサポートを有効化し、ネットワークのどのポイントにおいても、同等の動作であることを担保します。この共通性はキャンパス ネットワーク全体でテストするイメージが単一であるため、ソフトウェア リリースの評価試験を行う際に役立ちます。
Cisco Catalyst 9000 のハードウェアとソフトウェア基盤は、基本機能の上に新モデルを構築する時、同じエンド ツー エンドの QoS 機能を有効化します。それは顧客へ一貫性と簡潔性をもたらします。
これらの Cisco Catalyst 9000 ファミリの 5 つのメンバーは、9300 シリーズ スタッカブル スイッチ、9400 シリーズ モジュラー シャーシ、9500 シリーズと 9500 ハイパフォーマンス シリーズ固定コア スイッチ、そして 9600 シリーズです。このセクションでは QoS アーキテクチャの観点から、これらのプラットフォームについて議論します。
Cisco Catalyst 9200 シリーズ アーキテクチャ
Cisco Catalyst 9200 シリーズスイッチは、シンプルなアーキテクチャを持っています。ネットワーク モジュール ポートを含むすべてのフロント パネル ポートは、24- か 48 ポートモデルで 1 つの UADP Mini ASIC に、マルチ ギガビット モデルで 2 つの UADP Mini ASICs に接続されます。UADP Mini として単一 ASIC コアがあることで、その QoS バッファはすべてのポート間で共有されます。すべてのポートは個別のキューイング機能をサポートします。
Cisco Catalyst 9200 シリーズは、StackWise-160 / 80 を使用するスタッカブル スイッチです。それぞれのスイッチは 2 つのスタック インターフェースで、スタック内で別の 2 つのスイッチへ接続できます。そのスタックインターフェースは ASIC の一部であり、スタックリングへパケットを送出します。専用のバッファがスタック インターフェースに割り当てられ、ユーザは設定で変更することはできません。
Cisco Catalyst 9300 シリーズ アーキテクチャ
Cisco Catalyst 9300 シリーズスイッチは、シンプルなアーキテクチャを持っています。ネットワーク モジュール ポートを含むすべてのフロントパネルポートは、UADP 2.0 ASIC に接続されます。モデルによっては、スイッチは 1 つかそれ以上の ASIC にすべてのポートを割り当てます。1 つより多くの ASIC を持つスイッチについては、殆どの場合同じ数のポートに分割して ASIC に収容されますが、これはすべてのポートが ASICs から同じリソースを利用できるようにするためです。QoS バッファは ASIC コアごとに分割され、ASIC コアに接続されたポートの中でのみ共有されます。すべてのポートは個別のキューイング機能をサポートします。
Cisco Catalyst 9300 シリーズは、スタッカブルスイッチです。それぞれのスイッチは 2 つのスタック インターフェースで、スタック内で別の 2 つのスイッチへ接続できます。そのスタックインターフェースは ASIC の一部であり、スタックリングへパケットを送出します。専用のバッファがスタック インターフェースに割り当てられ、ユーザは設定で変更することはできません。
Cisco Catalyst 9300-B スイッチは UADP 2.0 XL ベースで、Catalyst 9300 の他のモデルよりも、より大きなテーブルと UADP 2.0 と比較して QoS についてディープバッファを提供します。
Cisco Catalyst 9400 シリーズ アーキテクチャ
Cisco Catalyst 9400 シリーズ スイッチは、中央処理アーキテクチャをベースにしており、スーパーバイザですべてのパケットが処理されることを意味します。ラインカードはスタブ ASICs と PHYs のみを持っており、透過的であると考えることができます。結果として、スーパーバイザにすべての QoS のリソースが存在しており、それはポートごとのバッファとその他の QoS リソースを含んでいます。中央処理デザインのシンプルさは、既存のラインカードをそのまま使用しつつ、将来スーパーバイザをアップグレードすることで、機能を簡単にアップグレードできる点にあります。
スーパーバイザ アーキテクチャは UADP 2.0 XL がベースになっており、Cisco Catalyst 9300 で使用されている UADP 2.0 と比較して QoS はより大きなテーブルを持っています。
Cisco Catalyst 9500 シリーズ アーキテクチャ
Cisco Catalyst 9500 シーズのそれぞれのモデルは、異なるポート速度と密度を提供しますが、QoS アーキテクチャの観点からは、9500 シリーズは 9300 シリーズと似ています。モデルによって、UADP 2.0 XL と UADP 3.0 のどちらも 9500 シリーズ スイッチには存在しています。表 1. は、それぞれに使用されるモデルと ASICs のまとめです。
モデル | UADP 2.0 XL | UADP 3.0 |
---|---|---|
C9500-32C | 2 ASICs | |
C9500-32QC | 1 ASIC | |
C9500-48Y4C | 1 ASIC | |
C9500-24Y4C | 1 ASIC | |
C9500-16X | 1 ASIC | |
C9500-40X | 2 ASICs | |
C9500-12Q | 2 ASICs | |
C9500-24Q | 3 ASICs |
画像 6. と 7. に Cisco Catalyst 9500 シリーズ スイッチのフロント パネルと ASIC の接続を示します。
ハイパフォーマンス系のすべてのスイッチは UADP 3.0 ASIC を使用し、2 つの ASIC コアの間でユニファイド バッファをサポートします。これはバースト トラフィックの吸収量を増加でき、スイッチのすべてのポート間で、1 つの共有バッファを持つことになります。
Cisco Catalyst 9600 シリーズ アーキテクチャ
Cisco Catalyst 9600 シリーズ スイッチは、中央処理アーキテクチャをベースにしており、スーパーバイザですべてのパケットが処理されることを意味します。ラインカードはスタブ ASICs と PHYs のみを持っており、透過的であると考えることができます。結果として、スーパーバイザにすべての QoS のリソースが存在しており、それはポートごとのバッファとその他の QoS リソースを含んでいます。中央処理デザインのシンプルさは、既存のラインカードをそのまま使用しつつ、将来スーパーバイザをアップグレードすることで、機能を簡単にアップグレードできる点にあります。
スーパーバイザ アーキテクチャは UADP 3.0 がベースになっており、Cisco Catalyst 9500 で使用されている UADP 2.0 XL と比較して QoS はより大きなテーブルを持っており、ASIC コア間はユニファイド バッファになります。
UADP パケット ウォーク
Cisco Catalyst 9000 ファミリで使用されているすべての UADP ASICs は、 イーサネット フレーム or IPv4 / IPv6 ヘッダのフィールドを使用し、QoS 機能をラインレートで提供できます。
パケット ヘッダのマーキングは、ホップ間でサービスレベルをやり取りします。すべての IPv4 / IPv6 パケットはレイヤ 2 とレイヤ 3 のマーカーを持っており、QoS とキューイングに使用するためにデザインされています。しかしそれらはクラスでトラフィックを分類するためにのみ使用されるわけではありません。UADP ASICs は送信元と宛先 IP アドレス、TCP / UDP ポート、他のパケット ヘッダのデータも、分類に使用することができます。
パケット ヘッダの分類は、以下の値を使用することができます :
- レイヤ 2 クラス・オブ・サービス (CoS) : 3 ビット (0 - 7 の値)
- マルチ・プロトコル・ラベル・スイッチング (MPLS) エクスペリメンタル・ビット (EXP) フィールド : 3 ビット (0 - 7 の値)
- レイヤ 3 ディファレンシエイテッド・サービシズ・コード・ポイント (DSCP) , IPv4 の IP プレシデンス タイプ・オブ・サービス (ToS) ; IPv6 のトラフィック クラス (0 - 63 の値)
もしスイッチからパケットが生成された場合、パケット ヘッダにマーキングされていなくても、CPU は優先度を設定してパケットを分類できます。例えば、LACP プロトコル・データ・ユニット (PDUs) はタグなし (=CoS なし) ですが、CPU は内部優先度を用いて、それらをプライオリティ キューでスケジュールできます。
パケット フォーマットについて、追加の詳細情報は付録 C. を見てください。
UADP 2.0 (と 2.0 XL) と 3.0 は、QoS とキューイングについて同じ ASIC パケット ウォークを共有しています。パケットがシステムに入った時、それは内部ディスクリプタに紐付けられます。ディスクリプタは複数バイトから構成され、いくつかのビットは QoS 専用になっています。これらの QoS ビットはパケットヘッダで、入力マーカーごとに初期セットされます。ディスクリプタはスイッチから出るまでにパケットと紐付けられます。最終転送決定されるとすぐに、ディスクリプタはパケットを書き換えるために使用されます。
モジュラー・クオリティ・オブ・サービス コマンド-ライン (MQC) モデル
入力ツールセット
信頼